協調学習のススメ

アイディアソンの中で、教育というテーマで議論することが多かったので
前回の記事で別に分けた協調学習というテーマで今回は書きたいと思います。
人に何かを教えるときに気をつけたい3つのポイント - pokotyamu的書きなぐり日記
最初に、東大の大学院の方のブログを参考に学問的な定義をまとめた上で、
自分の体験からどんな学習効果があったかという体験談の形で進めていきます。

学問的な定義



blog.iii.u-tokyo.ac.jp
blog.iii.u-tokyo.ac.jp
2つの記事をまとめると、
協調学習とは、

学習者がグループ活動の中で互いの学習を助け合い、一人一人の学習に対する責任を果たすことで、グループとしての目標を達成していく、協調的な相互依存学習

のことで、家庭教師や塾のチューターように一方の利益のために勉強することは含みません。
これによって得られる成果としては、

・学業成果(成績)
・対人関係(コミュニケーション能力)
・動機付け(モチベーションの維持)
・批判的思考やメタ認知的思考

などなどが挙げられます。

難しいことを言ってますが、要するに
試験前にみんなで図書館で集まって個人で勉強するのではなく、
ノートを持ち寄って、互いに得意な分野を教えあいながら、勉強していくことで成績の向上はもちろん、対人関係の向上や、人に教える責任感も含めて効果として求め、個人で勉強する以上の効果を期待する学習スタイルです。

PS①:かなり割愛していますので、詳しく知りたい方は原文を読んでください。
PS②:間違いあればコメントいただけると助かります。

実際に協調学習してみて感じたメリット



今回留学期間中に行ったアイディアソンについて紹介と感想について書いていきます。
どんなアイディアソンをしたかについては過去記事を見てください。

知識の学習法のパスを知れる

もし、新しい分野を勉強する時どのようにしますか?
参考書等を買って勉強するという方法も考えられますが、協調学習で勉強していくことでその人の持ってる知識に加えて様々な知見を得られます。
例えば

・どのように勉強したか?
・実際に使ってみた時の体験談
・その知識について、その人の考え方(意見)

このような副産物も込みで得ることが出来るため、
最終的な学習スピードが上がるように感じました。

今回の場合は「ビジネス」というワードに対して経営・経済系の学部の子に教えてもらったのですが
1人で勉強する上でどのように進めていこうかという方針を固めることが出来ました。

自分の知識が整理される

私は、一番効率がいい学習方法は「人に教える」ことだと思っています。*1
その理由は、

・人に教えるために再度知識を復習する
・責任が発生するので下手なことは教えれない
・ロジカルに伝えないと伝わらないので、文章構成のトレーニングにもなる

などが挙げられます。
協調学習では、教えあうことがベースになるため
必然的に教える機会が増え、高い学習効果が期待出来ると考えています。

ゴールを決めれる

個人でするよりも確認出来る人がいる分、
今日はどんなことを学ぶというゴールが設定しやすい気がしました。
さらに、そのゴールに向かう途中で話が脱線して別の議論に波及することで、
別な考え方も身につける事ができる可能性があります。

たまに脱線しすぎて、本来のゴールまで辿り着かないこともありますがね笑

コミュニケーション能力の向上

これは人によるのですが、
私は誰かと会話してコミュニケーションを取るのが好きなので
会話前提で学習が進む協調学習が向いているのかも知れません。
恐らく気がしれている間柄でやることになると思うので、
先生よりとことん理解できるまで質問攻めに出来るのもメリットと思っています。

質問することで、相手の知識の盲点を付くことが出来るかもしれない。
それによってさらに教えている側も勉強になっていて、学習効果が期待できる。
このような流れで進んでいるのがこれの面白いところですね。
なので、遠慮なく質問していきましょう!

九州工業大学の取り組み



私は現在九州工業大学の大学院に通っているのですが、
2011年に協調学習の研究を目的として「MILAiS」という施設が作られました。
MILAiS:九州工業大学 情報工学部 未来型インタラクティブ教室

最後にこの施設について触れて終わりたいと思います。

議論しやすい環境

この施設には協調学習を円滑に進める様々な仕組みが施されています。
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まずは壁です。
4つの壁全てにホワイトボードがズラーっと設置されています。
もちろんそのままも使えますが、取り外して移動することも出来ます。
さらにそれぞれにプロジェクターが備えられており、生徒が希望すればいつでも使用出来ます。

次に机です。
勾玉上に設計された机では、人数に合わせて机の広さを変えることが出来ます。
これも協調学習としては重要で、机が広すぎて議論しにくかったり狭すぎるということを防いでいます。
各テーブルに充電ケーブルを引けますし、飲食も可能です*2

端末の貸出

MILAiSではMBAiPadなど様々な端末を借りることが出来ます。
プログラミングを勉強する上で簡単にスペックの高いPCが借りれるのはありがたい。
例えば端末を忘れたという時でも駆け込みで使えます。

質の高い情報が集まる

ここからは私の体験なのですが、
協調学習でモチベーションが高まっている学生が集まっているため
他のグループから刺激を受けることが頻発します。
頻繁に利用してたらお互いに知らなくても顔覚えますしね。

やっぱりこの環境でつながった人は尖っている人間が多かったように感じます。
尖っている人間は、他の世界から情報をキャッチしてくる。それをこの環境で広める。
そんなループが回っているような感じがしています。

まとめ



最後の方は、大学施設の話になりましたが、
今回は協調学習についてまとめました。
本文の中ではメリットを中心に書きましたが当然デメリットもあります。
それは、相手のスキルセットに依存してしまうため
間違った情報を入れてしまう可能性があるということです。
これは自分が与える情報についても同じです。

これを防ぐためには、まず自分の与える情報の質を高めることがあります。
ギブ・アンド・テイクの精神がベースにあるため、質の高い情報をくれる人には、それに見合った質を持ってきてくれる人に出会える可能性が増えてくるように感じます。
さらに上のレベルの人と勉強できることをモチベーションにやるのも楽しいかもしれませんね。

*1:家庭教師をやっていた時も生徒に先生役をやらせて公式の証明を説明させたりしていました。

*2:臭いインスタントや缶コーヒーは例外だったはず